移住後の子育て環境

移住して本当に良かったと実感した瞬間は、長男が「東京にいるときより楽しい!」と言ったときでした。その言葉を聞いたとき、私の心は一気に軽くなり、移住を決意してよかったと心の底から思いました。

地域のイベントと子どもの成長

移住先の町には、独自の手作り感あふれるイベントがたくさんありました。商工会が企画する子どもの日、七夕、お月見、クリスマス、ひな祭りなどの行事は、幼稚園児にとって夢のような楽しみでした。東京にいた頃の華やかで大規模なイベントとは違い、地元の人たちが温かく手掛ける素朴な催しは、子どもたちの心に深く響いたようでした。

また、町の出店は地域の人たちによって運営され、そこに行けば必ず幼稚園のお友達に出会うことができました。特に小さな子連れの親子が多く、先生やスーパーの店員さん、ご近所さんとも自然に会話が生まれました。長男にとっては、これが嬉しいカルチャーショックだったのかもしれません。普段はあまり他人に興味を持たない性格でしたが、この安全で温かい環境では、人と関わることの楽しさを感じるようになっていました。

幼稚園の違い

移住後に入園した幼稚園は、甘やかしすぎず、厳しすぎず、親の目線から見てもバランスの取れた園でした。一方で、東京の幼稚園は保護者の意見が強く影響しすぎていて、先生方が自由に指導できない雰囲気がありました。小学校受験を意識した塾通いの子どもが多く、ストレスを抱えた子どもが問題行動を起こす場面もありました。先生が目を離した隙に「死ね」「殺す」といった暴言を吐いたり、叩いたり蹴ったりする子もいたのです。先生方は穏やかで、最初はそのような事実を信じられないという反応でしたが、複数の被害児の証言により、問題が明らかになりました。

被害児の親と加害児の親の間で話し合いの場が設けられましたが、次第に「被害児親VS加害児親」という形でママグループの対立に発展しました。ランチ会のお誘いもそれぞれのグループからありましたが、私は巻き込まれるのが嫌でどちらの誘いも断りました。その結果、長男は放課後の遊びに誘われる機会が減り、幼稚園生活の楽しさが少しずつ減っていったように思います。

親たちの環境の違い

東京の幼稚園では、ワンオペの専業主婦が多く、ストレスを抱えた母親が多い印象でした。父親は社会的に成功している職業の方が多く、ランチでは持ち物や夫の職業についての噂話で盛り上がることが常でした。そのような環境の影響が、子どもたちの問題行動にも影響していたのかもしれません。

一方、移住後の幼稚園では、父親が中心となってイベントを取り仕切ることが多く、両親そろって平日イベントに参加する家庭も珍しくありませんでした。農業や自営業を営む家庭が多かったことも影響していたのでしょう。また、移住後の幼稚園では共働きの家庭がほとんどで、母親が忙しくしている分、父親がイベントに参加することも多かったです。

子どもたちの違い

移住後の幼稚園の子どもたちは、裏表がなく、子どもらしい素直な子が多い印象でした。ただ、一人だけ意地悪な女の子がいて、長男はその子の標的になってしまったこともありました。その子は詰め込み教育を受けており、「くもんの宿題をしないとご飯を食べさせてもらえない」「山に置いてくる」などと母親が笑いながら話しているのを聞いて、正直ゾッとしました。

しかし、長男がその子の餌食になっていたとき、他の子どもたちが味方になり、「そんなことをしてはいけない」と自然に注意をしてくれたそうです。先生も必要以上に介入することなく、子ども同士の関係性の中で解決できるよう見守ってくれていました。

東京では、意地悪な子に対して大人が介入しなければならない場面が多かったのですが、移住後の環境では子どもたち自身が正義感を持って自然に対応していたのが印象的でした。共働きの家庭が多く、子どもたちも「自分にできることは自分でやる」という姿勢を見て育っているからこそ、助け合いの精神が自然と身についているのかもしれません。

移住して驚いたこと、感動したことは数えきれませんが、最も大きかったのは「子どもたちの健全な関わり方」に触れられたことでした。子育てにとって環境はとても大切だと改めて実感した出来事でした。

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